pool事業パートナーである浪速運送がプラ新法の大臣認定を取得。プラスチックの回収を拡大。
レコテック株式会社(代表取締役:野崎衛、以下、「レコテック」)はこの度、プラスチックのマテリアルリサイクルループを実現するpool事業のパートナー企業である浪速運送株式会社(代表取締役:東 宏剛、以下「浪速運送」)と策定したプラスチック資源循環促進法(以下、「プラ新法」)における再資源化事業計画が、環境大臣および経済産業大臣により認定(二号認定)されたことをお知らせします。
浪速運送は衣類のハンガー輸送や百貨店への一貫納品 、流通加工などアパレル製品の輸送を主力としながら、ダンボール資源の廃棄削減やエコビズBOX1の活用により環境配慮の取り組みを推進してきました。その中で、レコテックが展開しているpool事業(Circularity Design Tool – pool (以下「pool」)を活用して、アパレル由来の軟質プラスチックを動静脈一体物流2で回収・マテリアルリサイクルする事業)において連携を進めてきました。
本認定を受けたことにより、これまで東京都内に限定されていたプラスチックの回収対象地域をさらに拡大することができます。そうすることで現在多くの商業施設やアパレル店舗で焼却(サーマルリカバリー3)されてしまっているプラスチックを効率的に回収し、トレーサビリティのとれた持続可能なマテリアルリサイクルルートに乗せることが可能になります。これを受け、レコテックはpool事業を商業規模にスケールさせ、高品質のPCR材4の安定供給体制を構築します。
背景
昨今、気候危機や海洋プラスチック問題などの喫緊性により、脱炭素やサーキュラーエコノミーの実現が世界的に急務となり、欧米を中心にプラスチックの廃棄量削減やリサイクル材料の使用義務化などの具体的な法整備が進められています。日本でも2022年にプラ新法が施行され、自治体や企業のあらゆるプラスチックにおける資源循環の取り組みを促進する法整備が進んでいます。
プラスチックの資源循環を推進するにあたって最大の課題は経済合理性、すなわち「回収の効率化」です。リサイクル後のプラスチックを材料として製品に活用するためには、品質管理の観点から現状よりも細かな分別や物流の管理が必要であるため、新たな回収ネットワークを構築することが重要です。しかし、従来の廃掃法5では産業廃棄物であるプラスチックの回収や処分を行うことが可能なのは産業廃棄物処理業の許認可を受けた企業のみに限定されており、回収の非効率性の原因の一つとして指摘されていました。プラ新法では、企業や自治体の資源循環の取り組みを促進するために、本制度により認定を受けた場合、認定された再資源化事業計画の範囲において、廃掃法に基づく業の許可が不要となる認定制度が定められました。
pool事業について
レコテックは、2021年より東京都の「プラスチック資源循環に向けた革新的技術・ビジネス推進プロジェクト」にも選定され、プラ新法の施行に先駆けて東京都との再生利用指定制度6を活用した共同実証事業としてpool事業を展開してきました。pool事業は、poolを活用して、商業施設やアパレル店舗から発生するハンガーカバー(透明の軟質プラスチック)を動静脈一体物流で効率よく回収し、poolでトレーサビリティを担保しながらマテリアルリサイクルする事業です。当事業では、効率的に回収することで回収時のCO2排出量だけでなく、適切に分別されたプラスチックのみを回収対象とすることで洗浄・乾燥プロセスを省いた環境負荷の低いサーキュラーサプライチェーンを構築することができました。
これまでは回収対象となる排出事業者は東京都内に限定されていましたが、本認定を機に、回収対象地域を全国に拡大し事業をスケールさせることができるようになりました。
再資源化事業計画について
浪速運送は、レコテックと連携して実施しているpool事業におけるプラスチックの回収〜処分のオペレーション及びpoolによる情報管理の知識・経験から、複数の排出事業者からの委託を受けてプラスチック使用製品産業廃棄物等を再資源化する事業者として、二号認定を取得しました。本認定を受けたことによって、浪速運送は認定再資源化事業者となり、当該再資源化事業計画の範囲におけるプラスチック使用製品産業廃棄物等を回収・リサイクルすることが可能となりました。
今後の展開
本認定を機に、pool事業における回収対象地域を全国に拡大し、アパレル店舗由来の透明なプラスチックのマテリアルリサイクルを通して、持続可能なサーキュラーサプライチェーンのスケール化を目指します。
浪速運送について
浪速運送は、ファッション・アパレル業界の多様化するニーズに対応した物流サービスを構築し、環境と安全に配慮した物流サービスを推進してお客様の発展に貢献すると同時に、全社員の幸福を全社員で追求しています。
レコテックについて
レコテックは、「世代間責任を果たす」をミッションに掲げるClimate Tech Startupです。現在の廃棄物の仕組みは、焼却もしくは埋め立てがほとんどで、次世代に負債を残している状況です。テクノロジーでこの構造に変革を起こし、ネイチャーポジティブな経済発展ができる社会をつくることを目指しています。
Circularity Design Tool – poolについて
poolは、資源価値の終わりを始まりに変えるクラウドサービスです。都市資源をpoolでデータ化することによって回収効率を高め、リサイクル材料を活用したい製造業者と排出事業者を繋ぎ合わせて循環型サプライチェーンをデザインします。ごみの発生から、運搬、リサイクルのすべての過程で、スマホやタブレットで簡単に情報連携することで、リサイクル材を活用する上で欠かせない「どこから」「どのようなプロセス」を経てリサイクルしたかのトレーサビリティ情報とスコープ3カテゴリ1・5のCO2排出量情報を提供します。
1エコビズBOX: エコビズBOX:「段ボール」や「折りたたみコンテナ」の代替え品となる繰り返し使用できる物流用通い箱。
2動静脈一体物流:生産者から消費者に向かう「動脈」、消費者から生産者に向かう「静脈」を一体化させた物流。
3サーマルリカバリー:廃棄物を焼却処理した際に発生する排熱を回収し、エネルギーとして利用すること。
4PCR材:ポストコンシューマーレジン (Post-Consumer Resin)の略。家庭から排出される材料、または製品のエンドユーザとしての商業施設、工業施設及び各種施設から本来の目的を終え、もはや使用できなくなった製品として発生する材料からリサイクルさせた樹脂。
5廃掃法:廃棄物の処理及び清掃に関する法律の略
6再生利用指定制度:再生利用されることが確実だと認められる産業廃棄物のみを収集運搬、又は処分を行う業について、産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可やマニフェストの交付などを不要とする制度。