資源循環プラットフォーム”POOL”を新たにローンチしました。

 レコテック株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:野崎 衛、以下「レコテック」)は、2019年 12 月にβ版をリリースしたサーキュラーエコノミー社会を実現するための “GOMiCO” と “Material Pool System” を統合し、資源循環プラットフォーム”POOL”として新たにローンチすることをお知らせします。

 

 “POOL”は、製造業者が自社製品に活用するために、トレーサビリティのあるリサイクル材を提供する資源循環プラットフォームです。ごみの発生から、運搬、リサイクルのすべての過程で、スマホやタブレットで簡単に情報連携します。リサイクル材を活用する上で欠かせない、「どこから」、「どのようなプロセス」を経てリサイクルしたか、また、トレーサビリティ情報の提供もします。(図1参照)

図1:POOLを活用した資源循環スキーム

 

“POOL”に込めた想い

 埋めてしまったごみが土に還るまで、私たちは生きていられません。今の心地よさを重視し、経済発展をするために、次世代に課題解決を任せている状態です。レコテックは、100年後を生きる子どもたちにとっても、自然豊かな地球を当たり前にしたい。“ごみ”という概念のない世界をつくりたい。そのために想像力とテクノロジーを駆使し、「捨てる」という行為を「POOL -資源として預ける」に再設計します。

【背景】

 深刻化するプラスチック問題を解決する手段として、廃プラスチックを回収・リサイクルし、リサイクル材として循環させていく取り組みが進んでいます。

 リサイクル材は以下の2種類に分類されます。

プレコンシューマー材料
製造工程における廃棄物の流れから取り出された材料。
→生産工場から発生する端材などの廃プラスチックは、管理された状態で排出されるため、従来からリサイクル材として利用が進んでいます。

ポストコンシューマー材料 (以下PCR材)
家庭から排出される材料、または製品のエンドユーザとしての商業施設、工業施設及び各種施設から本来の目的を終え、もはや使用できなくなった製品として発生する材料。
→アパレルの包装資材や詰め替えのパウチなどの廃プラスチックを、回収・リサイクルすることは、安全衛生面また品質管理面からも大変難しく、コストもかかることから継続的な活用が簡単ではないのが現状であり、PCR材を有効活用することは、プラスチック問題を解決するための重要なポイントです。

 そのため、特にプラスチック資源を扱う製造業者は、PCR材を自社製品に一定量活用しなければ課税対象になるなど、国際社会からの要請がますます強まり、PCR材を安定した品質、持続可能なコストで供給できる仕組みが求められています。

 

“POOL”が実現する未来

 プラスチックの大量消費都市から、大量供給都市へ。1日2万トン以上*1の使い捨てられているプラスチックをPCR材として製品に戻すため、資源循環プラットフォーム”POOL”を活用して、製造業者に供給するための資源循環をデザインします。(図2参照)

*1 参考:WWFジャパンWEBサイト「海洋プラスチック問題について」、Neufeld,L.,et al.(2016)

図2:POOLが実現する未来

”POOL”が提供する機能】

 製造業者にPCR材を供給する仕組みを構築するために、”GOMiCO”と”Material Pool System”を活用して、2019年より取り組んできた福岡市、川崎市、東京都丸の内エリアでのプラスチック資源循環実証では、これまで約4トン以上のプラスチック資源を取り扱ってきました。実証から得られた知見を元に、新たに以下の機能を追加しました。

物流効率の最適化

 資源を再生する際にかかるコストとして、物流コストがその大半を占めます。複数の業種・業態の企業が相乗りし、エリア単位で都市資源情報を把握することで、物流効率を最適化し、持続可能なコストを実現します。

PCR材のトレーサビリティ情報を確立

 ごみの発生から、運搬、リサイクルのすべての過程で情報連携を図ることにより、資源がどこから発生し、どのプロセスを通ってリサイクルされたか、トレースすることができます。(図3参照)

図3: 各プレイヤー間の情報連携

トレーサビリティがあるPCRPOOL樹脂を提供

 トレーサビリティを確立することで、PCR材であることが担保されたPOOL樹脂を提供することができます。(図4参照)

図4:PCR材のPOOL樹脂

【今後の展望】

 2024年度に年間2万トン以上のPCR材の供給に向けて、2021年11月より東京都全域にプラスチック回収拠点を拡大します。2022年から福岡、川崎をはじめとした複数都市に回収拠点を拡大し、全国展開を目指します。また、2021年度中にPOOLシステムを活用して製造したPCR材であるPOOL樹脂の販売も開始します。今後は資源物の対象を拡大し、プラスチック資源のみならず、有機性残渣や鉄・非鉄などの循環にも取り組む予定です。事業拡大を通して得られた知見を元に、ブロックチェーンとの連携によるカーボンクレジットの発行や、AIによる資源発生予測機能の実装など、更なる開発を進めていきます。